今日の夕方、Sが一人でやってきた。
わたしは、てっきり金曜日に来るものと一人合点してた。
数人で来るものと勘違いしていた。

お店が終わるまで、待ってるというので、仕方なく(逃げるわけにも行かず)待ってもらった。

二人になって、お互いに沈黙が続いて・・・
いったい何しに来たんだろう?
と思っていると、
S「突然、変な手紙出してごめんね。ああでもしないと、会いにいく勇気が出なくて・・・。今日は謝りに来たの。」
わたし「???」
S「幸せなら、まあいいかって思ってたんだけど、離婚したって聞いて、やっぱり謝らないと・・・と思って。」
わたし「何のこと?」
S「今さらどうでもいいことなんだけど、ずっと気になってて・・・、というか・・・」
わたし「だから何のこと?(イライラ〜)」
S「あのね・・・、少し長くなるけどいい?」
わたし「まあ、いいけど。」
S「中学の時、K君(たぬぽんのこと)に手紙を出したの。ラビの悪口を書いた手紙。といっても、そんなに悪口でもないんだけど・・・、まあ、悪口。」
S「ラビの前にK君とつきあっていたY香のこと覚えてるよね?」
わたし「うん。」
S「わたし、Y香がK君に告白したって聞いて、K君と付き合うのは良くないよ、って説得しようとしたの。だって、K君って、入学した頃、スカートめくりばかりしてたじゃない? わたし、学校で泣いたことなかったのに、いきなり知らない男の子にスカートをめくられて、しゃがみこんで泣いちゃって・・・、なんだかプライドをズタズタにされたっていうか・・・、ともかく許せなかったの、K君のこと。」
わたし「うん(話が見えない・・・)。」
S「それで、勢いでY香に、K君に裏庭で胸まで触られた、ってつい言っちゃってね。」
わたし「それで別れちゃったんだ、すぐに・・・。」
S「うん・・・。でも、その時はそれで良かったって思ってたの。でもね・・・。」
S「ある日、K君がわたしの字を見て、Sの「し」って好きだな〜、って言ったの。」
わたし「「し」?」
S「うん、ひらがなの「し」。」
と言って、指で縦に長い「し」を書いて見せた。
S「そのあと彼が、ぼくもその「し」を書いていい?、って聞くから、いいけど・・・って。」
そういえば、彼の書く「し」は、線のように縦に長い。
わたし「うん・・・。それで?」
S「え〜と、それはそれだけ。」
わたし「それで、どうして、わたしに謝るの?」
S「あ、うん・・・。それでね、どうしてだか、Y香に悪いことしたと思いだして・・・、そのうちにラビがK君とつきあいだしたから、Y香のために二人を別れさせないと・・・、と思って、まあ、ラビの悪口を来た手紙を靴箱に入れたわけ。」
わたし「初めて聞いたけど・・・。」
S「うん、わたしの靴箱に手紙が戻っていたの。わたしの手紙の下に一行を書き加えて・・・。美しいけど哀しい「し」だね、って。」
S「ごめんなさい、本当にごめんなさい。」

わたし「気を悪くしないでね。どうでもいい話のような気がするんだけど。」
S「そうかもしれない。きっとそうよね。でも、ずっと罪悪感っていうか・・・。でも、やっと謝ることができてよかった。」
と言って、初めて笑顔を見せたS。
わたし「裁判官ってたいへんだね。そんな昔のことまで気にして。」
S「裁判官、辞めたのよ、知らなかったの?」
わたし「うん。」
S「ところで、K君とはその後どうなってるの?」
わたし「なんにも・・・。なにもあるわけないじゃない。」
S「なんだ、〇〇大学の近くでラビが喫茶店を開いたって聞いて、しかも、離婚したというから、てっきりK君とよりを戻したのとばかり思ってたのに。」
わたし「K君に会いに来たの?」
S「ううん、そうじゃないと思う。だってK君が田舎にいるの知ってるもん。」
S「ただ、この傘を返したくて。卒業式のときに傘を貸してくれたの、K君。返せないからいらないって言ったのに、またいつか会えるよ、って言って雨の中走って行っちゃって。ここに持ってきても仕方ないのにね。」
わたし「なんだか、Sらしくないような気がするんだけど。話がちぐはぐだよ。でも、わたしが知っているSより、今のSの方が好きかも(笑)。」
S「うん、ありがとう。でも、このお店とK君って全然関係ないわけじゃないよね?」
わたし「まあね〜。わたしこそ、話すと長いんだけど・・・。」
S「じゃあ、飲みながら話さない?」

というわけで、すぐ近くの居酒屋でいろいろと話した。
今日は、マスターの夕食を作れなかった。
マスター、夕食を待っててくれてたみたいで、ごめんなさい。

:*:・°★,。・:*:・°★,。・:*:・°★,。・

ブログを書き始めて、ブログがいいなあと思うのは、他人が見るから、丁寧に書くこと。きちんと書くことで、いろいろなことがわかることがある。
ブログを書く前にも、自分で日記をつけていたことがあるけれど、自分しか読まないから、感情をぶつけているだけで、後から読んでも何が何だか分からないことばかりなのよね。

ちょっと疲れたから、あとは書き残しておくだけでごめんね。
(って誰に謝っているのか・・・)

Sは、東大在学中に司法試験に通って、裁判官になった。
なりたくてなったというより、東大法学部にいると、在学中に司法試験に通るのは勝ち組らしくて、しかも、成績が優秀でないと裁判官にはなれないし、裁判所は男女が全く平等なので(よくわからないけれど)、成り行きで裁判官になったらしい。
大学時代のサークルの先輩だった商社マンと結婚して、不妊治療の末、やっと子どももできた。ただ、裁判官には定期的に転勤があり、夫婦が離れて暮らすには子育てと仕事の両立が難しいので、ちょうど仕事が嫌になったご主人が仕事を辞めて主夫さんになったらしい。そこまではよかったが、仕事を辞めたとたんに、ご主人が元気になり、立て続けにあと二人も子どもができてしまった。裁判官と言う仕事柄、堕胎はできないので3人目のときは避妊に気をつけたけれど、できちゃったらしい。しかも、ご主人は育児ノイローゼからか、うつ状態になり、体が動かなくなってしまった。それでSが育児と仕事を一手に引き受けてがんばっていたらしいけれど、ある日「わたしもクッキーを焼いたりしてみたい!」と思い、仕事を辞めて、ご主人に働いてもらうことにしたらしい。ところが、ご主人はニート状態のままで・・・、そんなご主人と生活することが苦痛になり、Sまでうつ状態になりかけたので、ついに離婚したらしい。

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というわけで、お店には、むか〜し彼がSに貸した傘があるの。
レディーが残したコーヒーカップとSが残した傘。

書いたことを読み返していて思うのは、きっとSはたぬぽんが好きだったんだろう、ってこと。
ただ、Y香にウソを言ったことや、悪意の手紙を書いたことなどがあって、気持ちを抑えていたんだろうなぁ。

もう、30年近くも前のこと・・・なんだね。
Sはどういう気持ちで傘を持ち続けて、どういう気持ちで傘を置いていったんだろう?

今度はY香も連れてくるらしい。
懐かしいなぁ。
たぬぽんのこともあってかな、中学・高校時代はほとんど口をきかなかったの。
小学校の時は、Y香ともSとも仲が良かったんだ。
いま、思い出したよ。

ところで、「Next」ってY香とSが二人でやっている小・中学生向けの英語教室の名前なんだって。
お店から電車で10分くらいの距離のところにあるんだって。
封筒にあった「Nextへようこそ!」というのは、わたし向けの言葉じゃなかったんだ。
もう、変なうわさを教えないで欲しいなぁ・・・。
あわてて、方々に電話しまくったわたしが悪いんだけど。

というわけで、怯えていたのがウソのような、懐かしさでいっぱいの夜だった。
今度、二人が来る日には、きちんとお迎えの準備をして、お店で再会のお祝いをしよう♪

いつか、たぬぽんがお店に来たら、
たぬぽんに恋した女性が4人でお迎えできるかも〜なんてね(^^)v

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