彼のお誕生会

Sは、昨日も彼に会えず。
4月以来、事故のときの「ちら見」だけみたい。

ところで、昨日の夕方、不意にLadyがやってきた。
「引っ越し祝いを持ってきてあげたわよ。どこに飾ろうかな〜」
といって、2階の部屋に。
（あ〜。鍵をかけてない！）

しばらくして降りてきて、
「突っ込みどころ満載の部屋ね。」と笑われた。
彼女が持ってきてくれたのは、大きく引き伸ばされた彼の写真。
煙草をすっている横顔だ。
うれしい！

「ところで、今度、彼の誕生会するから。」
（えっ！）
「そんなうれしそうな顔をしても、彼は呼んでないわよ。」
「彼がいないのに、誕生会？」
「そうよ、彼の誕生会には彼がいないのがあの部屋のしきたり。」
（そうなんだ…）
「誰が来るの？」
「エルは外国にいるし、お嬢はちょっと事情があって。がっちゃんは連絡が取れないのよ。」
「じゃあ…、4人か。」
「3人よ。わたしとまあちゃんとパイちゃん。まさか、あなた、自分も数に入れてるの？　メンバーじゃないじゃない。」
（え〜！ひどい…）
「ただ、場所はここでするから、店のスタッフがいるんだけどね。」
（やった〜！）
「ワインはわたしが用意するし、お料理もみんなが持ち込んでくるけど、Lavyも一品くらいは作っときなさいよ。茄子料理は得意なんでしょう？」
「あ〜い！」

わ〜、楽しみだな〜。
「パイちゃんっていう方にも会えるだ〜」
「う〜ん、たぶん会っていると思うわよ。たまにお客さんで来ているはずだから。」
（どの人なんだろう？）
「彼女、二駅向こうの郵便局で勤めているのよ。独身だから、二つ返事でくるって言ってた。」
「楽しみです！」
「ちなみに、いまだバージンなんだけどね。」
（以前、確か、彼の布団に全裸でもぐりこむのが得意な女子高生だと聞いたような…。てっきり彼と関係あるもんだと思ってた。）
「あなた、勘違いしてたでしょう。そうだと思ってね。彼の指は入ったことがあるらしいけど。」
（えっ！）
「あなたの表情の変化、見ているだけで楽しい（笑）。」
（うぐっ！）
「ちなみに、まーちゃんも彼とセックスの関係はないわよ。というか、メンバー全員、そういう関係はないはずよ。」
（え〜！そうなんだ。っていうか、あんたは1回あるじゃん！この掟破り！　ん？でも、まーちゃん、彼のカルピスとか言ってたぞ！　精液飲んで、セックスなし？　まあ、わたしもそうだ時期があるから、そうなのかも。。。）

「それにしても、あの部屋すごいわね。ある意味で感動しちゃった。」
「恥ずかしいです。」
「まあね。ただ、あなたとSちゃんを見てると、負けてるな〜って思うの。ありえないっていうか、逃れられないっていうか。苦しいんだろうなって。」
（はい、苦しいです。）
「特にSちゃんには、一度くらいは彼とね。。。何か、いいお膳立てがして上げられるといいんだけど。」
「ま、まあ、わたしもそうは思ったり。」

ただね、絶対に一度じゃ終わらないもん。