Sの母親の葬式も何とか終わったけど、なんだかやるせなさだけが残った。
ああいう家庭で育ったのか、と、改めて感じた。
Sがあらゆることから耳をふさぎ、ただ彼の声だけを聞いていたという理由が、ほんのわずかな時間でもわかってしまう、そんな家の雰囲気だった。
母親を恨むに恨めず、最後まで尽くした彼女には、ほんとに頭が下がる。
もういいんだよ、って声をかけてあげくなる、そんな感じかな。
毎日、彼の姿を見に行くSを見て、「よく毎日続くな~」とか思っていたけど、
でも、あれは救いを求めに教会に毎日通う敬虔な信者にも似た姿なんだろうな。
自由になるほんのわずかな時間に、彼の姿を見に出かける行為。
彼に会えるか否かよりも、その行為自体が、彼女にとっては光だったんだろう。
早くこっちに帰ってくるほうがいい。
子どもたちだって、あれじゃあ可愛そう過ぎるよ。
少し遠回りになったけど、帰りに寄った、がっちゃんの夫の実家。
自分で言うのもなんだけど、わざわざ遠くから来たのに、あの対応はないんじゃないのかな。
やっと教えてもらった、がっちゃんのお墓は、彼女のご主人の家の先祖代々のお墓の隣に、とても小さくたたずんでいた。
どういう気持ちでここにいるのかと、ふと思った。
女は、死んだらこういう風に嫁ぎ先の墓地に埋葬される。
そういうことを、実感として感じた。
どういう理由で、彼女のお墓だけ、別にあるのか。
どういう理由で、先祖代々の、あの立派なお墓に入っていないのか、その理由はわからない。
彼女には子どももいないらしい。
だれ一人血のつながりのない、そういう中で、こうやって雨の中をポツンとたたずんでいる。
彼女が、彼の下宿で見せた、少し異常ともいえる自己主張も、あの小さなお墓を見ているとなんとなくわかるような気がする。
帰り際に、Ladyが、がっちゃんのお墓に差していた傘をかけた。
その傘の赤い色がとても鮮やかで。
墓地に似合わないその鮮やかさが、逆によく似合っているような気がした。
葬式の翌日、Sが忙しい時間をぬって、彼の駐車場に連れて行ってくれた。
もう、彼の車がそこにはあった。
「逢えなかったな。」と少しホッとしながら近づくと、よくわからない黄色の編み物が、車の中に垂れ下がっていた。その他はまったく飾り気のない、彼らしいちょっと古びた車だった。
あの編み物は、きっと彼の子どもが編んだんだろう。
めったに会えない父親の無事を祈って編んだのかな、とか思いつつ、ただ、じっと見つめていたら、
「つい、最近、登場したのよ、これ。」とSがうれしそうに話す姿が痛々しかった。
Ladyも誘ったけど、彼女は行かなかった。
彼女なりのこだわりもあるんだろう。
とにかく、やるせなさだけが残った、そんな旅だった。
せめて死んだあと、彼のお墓に入りたいと、そんなことをふと思ったりする。
明日は、ジョギングしたくないな。。。
ああいう家庭で育ったのか、と、改めて感じた。
Sがあらゆることから耳をふさぎ、ただ彼の声だけを聞いていたという理由が、ほんのわずかな時間でもわかってしまう、そんな家の雰囲気だった。
母親を恨むに恨めず、最後まで尽くした彼女には、ほんとに頭が下がる。
もういいんだよ、って声をかけてあげくなる、そんな感じかな。
毎日、彼の姿を見に行くSを見て、「よく毎日続くな~」とか思っていたけど、
でも、あれは救いを求めに教会に毎日通う敬虔な信者にも似た姿なんだろうな。
自由になるほんのわずかな時間に、彼の姿を見に出かける行為。
彼に会えるか否かよりも、その行為自体が、彼女にとっては光だったんだろう。
早くこっちに帰ってくるほうがいい。
子どもたちだって、あれじゃあ可愛そう過ぎるよ。
少し遠回りになったけど、帰りに寄った、がっちゃんの夫の実家。
自分で言うのもなんだけど、わざわざ遠くから来たのに、あの対応はないんじゃないのかな。
やっと教えてもらった、がっちゃんのお墓は、彼女のご主人の家の先祖代々のお墓の隣に、とても小さくたたずんでいた。
どういう気持ちでここにいるのかと、ふと思った。
女は、死んだらこういう風に嫁ぎ先の墓地に埋葬される。
そういうことを、実感として感じた。
どういう理由で、彼女のお墓だけ、別にあるのか。
どういう理由で、先祖代々の、あの立派なお墓に入っていないのか、その理由はわからない。
彼女には子どももいないらしい。
だれ一人血のつながりのない、そういう中で、こうやって雨の中をポツンとたたずんでいる。
彼女が、彼の下宿で見せた、少し異常ともいえる自己主張も、あの小さなお墓を見ているとなんとなくわかるような気がする。
帰り際に、Ladyが、がっちゃんのお墓に差していた傘をかけた。
その傘の赤い色がとても鮮やかで。
墓地に似合わないその鮮やかさが、逆によく似合っているような気がした。
葬式の翌日、Sが忙しい時間をぬって、彼の駐車場に連れて行ってくれた。
もう、彼の車がそこにはあった。
「逢えなかったな。」と少しホッとしながら近づくと、よくわからない黄色の編み物が、車の中に垂れ下がっていた。その他はまったく飾り気のない、彼らしいちょっと古びた車だった。
あの編み物は、きっと彼の子どもが編んだんだろう。
めったに会えない父親の無事を祈って編んだのかな、とか思いつつ、ただ、じっと見つめていたら、
「つい、最近、登場したのよ、これ。」とSがうれしそうに話す姿が痛々しかった。
Ladyも誘ったけど、彼女は行かなかった。
彼女なりのこだわりもあるんだろう。
とにかく、やるせなさだけが残った、そんな旅だった。
せめて死んだあと、彼のお墓に入りたいと、そんなことをふと思ったりする。
明日は、ジョギングしたくないな。。。
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