音信

Ｓが昨日、お店の大掃除に来てくれた。
頼んでもいないのに。。。ありがとう。

そのとき、彼の講演の資料を持って来てくれた。
昔の同級生が子どもを彼のところに通わせているんだけど、
「私の子どもの受験の参考に」
という理由で、
Ｓは、彼の予備校から送られてくる資料を送ってもらっている。
こういうのを、如才がない、というんだろうな。

そういうことをしていることは知っていた。
でも、いまだ見たことはなかった。
それは、私が断っていたから。
理由は、なんとなく負けている気がするから？

で、昨日、もって来てくれた資料なんだけど、
「ねえ、すごいわよね～」
と、Ｓは言う。
「そうかな。。。」と気のない返事をする私。

最近、彼のことをほめる言葉を聴くと、つい否定したくなる私がいる。
私の性格がひねくれているから？
それとも、嫉妬？
それとも。。。彼のことが好きじゃなくなっているから？

でも、内心、「すごいな～」って思った。
それは、予備校から送られてくる資料ではなくて、同級生の息子さんが通う高校での講演の資料だった。
彼は、最近、いろいろな高校で講演をしているらしい。
そして、タイトルは、
「自分が自分らしく生きるために」
彼らしいタイトルだ。
もちろん、予備校講師としての講演だから、大学受験についても触れているが、
内容のほとんどは、現在と、20年後、40年後の日本についてのことだった。
年金、医療、少子化など、政治・経済について語っているようだった。

資料だけでは、私にはよくわからない。
でも、自分の利益に関係ないことを、忙しい時間を割いてまでやる彼を、やっぱりすごいな、と思う。

正直なところ、私は、彼が予備校で仕事をするのはどうかな？って思ってた。
彼は、政治家とか、弁護士とかがよく似合うと思うから。
でも、才能がある人は、どんな場所でも自分の居場所を作っていくんだな、って改めて思った。




ただ。。。すごいな、とは思っても、うれしくならない。
どうしてなんだろう？
ほんの少し前まで、私は彼のすることに、ほとんど喜びを感じることができた。
でも、今は同調できなくて、淋しくて虚しい。

同じ歳のＳが、あんなに無邪気に喜べるのがうらやましい。。。


Ｓもぱいちゃんも、20年以上の年月の断絶があるのに、ずっと同じ気持ちで彼を愛している。
想い出というものは、どんどん美化していくはずなのに、
彼女たちは、想い出の中の彼と、今の彼とにギャップを感じなかったんだろうか？
それとも、セックスの甘美が、彼女たちの目を眩ませているのだろうか。。。

私の中には、愛が削り取られた、ただ性欲だけが残っているのだろうか。。。